移り気な男とワケあり少女の×××!
「で、どうしてそんなに沈んでたんですか?」
アーシェがカチャカチャと食器を動かしながら聞く。
と、メイベルはぽそりこぼす。
「好きになってはならない方を好きなのです。」
「好きになってはならない方って、貴族の方とかですか?」
この言い方だと、やはりアーシェは貴族ではないだろう。
メイベルは静かに頷いた。
「そうです。とてもとても身分が上の方です。」
「伯爵のご子息あたりですか?」
「いいえ、もっと上。公爵のご子息です。」
「えっ、公爵!?」
アーシェはカチャン、と一段と大きな音を立てた。
どうやら、何かを取り落としたようだ。
「公爵なんて、どうやって知り合ったのですか!」
アーシェが気持ちよく驚くからメイベルは素直に全てを話した。
「私はワルドローズ公爵様のご子息、フリードリヒ様にお仕えしています。
お仕えしながら、あの方に惹かれていって。でもいけないってわかってはいるんです!
辞めたいけど、家が没落していて、私が働かないとやっていけないのです。」