紅梅サドン
「田辺君は安月給だからなあ。

それに“短気でガキっぽい”田辺君より、真澄さんの方がずっと大人だったんじゃん?

僕が女だったら、田辺君と結婚なんて有り得ないねっ!。」

次郎もニヤニヤとそう言って笑う。


「何を!?このクソガキ次郎がーー。


お前ら兄弟は、二人揃ってウンコだ。

ウンコ兄弟が!!」


雪子が笑う。
ルノーも笑う。
次郎も笑う。

僕も気づけば一緒に笑っている。


僕等はそうやっていつしか、毎日の小さな出来事で笑ったり、時には怒ったり、心配したり、泣いたりーーーー。

今はもう潰れてしまった小さな結婚相談所が、奇妙に繋ぎ合わせた僕等がここにいる。


赤の他人同士がこんな狭い部屋で、たったの数ヶ月の間暮らしただけだ。

ただそれだけの事なのにーー。

僕等はどうして、こんなにも楽しいのだろう。

どうしてこんなに、居心地がいいのだろう。

赤の他人同士なのに何故一緒に笑い合えるんだろう。


僕等は共に過ごした今までの事を、一つづつ思い出しながら話をした。

それはまるで小さな楽しい紙芝居をめくってゆくみたいで、僕等は何度も笑い合った。



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