紅梅サドン
風呂上がりのルノーが、バスタオルを巻いて出て来た。

濡れたままの柔らかい髪が、短い滴を垂らして光る。


「みんな寝たの?」

「寝たよ。」

「そっか。秋ジイ、最後の夜だから二人で飲もうよ。」

「ああ、そうだな」

軽く乾杯した僕等の缶ビールが、無邪気に泡を立てた。

二人で飲み干すと、静まり返った部屋に相変わらずの冷房の壊れかけた低い音が鳴り響く。


「結局、冷房直さないで終わったねえ。

この冷房、もう少しもってくれるといいねえ。まだ九月は暑いよ。」

「すぐ秋が来る。大丈夫だろ。」

僕はそう言いながらワインの栓を思い切り開けた。


「“秋”と言えばさあーー元はと言えば秋ジイがそんな名前だから、こんな変な展開になったんだよねえ。」




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