紅梅サドン
「お前が『女』だと思い込むから悪いんだろ?

結構気に入ってんだよ『秋』って名前。母さんが付けてくれたんだけどな。」

「秋ジイの母ちゃんて、東京に住んでんの?。」

「埼玉にな。父親と二人で。俺一人っ子なんだよ。

父ちゃんは俺と性格そっくりだ。

感情丸出しの直情型人間だ。母ちゃんに『あんた達はよく似てる』って笑われるよ。」

僕の話を聞きながらルノーはクスクス笑って、ワインを一口飲んだ。


「お前の「るのう」って良い名前だな。お前に似合ってる」

「俺も好きだよ。女が特に食いつくね。『可愛い名前ね~』ってさ。

ま、名前が俺の“美男子感”を引き立たせてんだよねえ。」

「一生言ってろ。」

僕も笑ってワインを飲み干した。

何度となくルノーとこうしてワインを飲み交わしただろう。

グラスの赤ワインは湿った炎みたいに、どこまでもくすんだ色をしていた。




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