アイ・ラブ・おデブ【完結】
マンションの前の植え込みに踞る人が見えた

「…ヒロくん……」

菊地が苦しそうな顔で涙をこらえて呟いた

車がマンションの横に止まると小夜はドアを開け、勢いよく飛び出した

「ヒロくんさん!
菊地さんのことっ
嫌いにならないでくださいっ!
お願いしますっ!」

逃げないように両手をガシッと握りしめ、身を乗り出して顔を近づけ、一息にまくし立てた

あまりに顔を近づけたので小夜の唾が飛んだに違いない

何を言おうとか考えていたわけじゃないけど、苦しそうな菊地を見たら体が勝手に動いていた

くりっとした目をさらに大きくしてヒロくんは驚き、眼鏡がずれている
< 108 / 1,499 >

この作品をシェア

pagetop