アイ・ラブ・おデブ【完結】
「奥まで行ってみようか…
ここは天然の洞穴を広げて、だいぶ昔から使われてきたんだ
今はあっちの温度管理がされている倉庫を使っている
フォークリフトとかが入らないんだ…こっちには
でも、ヴィンテージとか特別なものをここに寝かせている
気をつけて…天井が少し低いからね」

小夜の手をしっかりと握り狭いトンネルを進んでいく

ひんやりとした少し埃っぽい空気にも薄暗い景色にも段々と慣れてきた

…へぇ~…こんなところがあるんだ…
ワインの眠る場所は地下なのね…
確かに涼しくて静かで眠るにはいいかも!

一際埃が積もる棚に近づき遥は目を輝かせた

「ほら!これ…90年前に作られたヴィンテージ物だよ!
あと15本しかないから次の当主がここぞというときにならないと開けないんだ
どんな味なんだろうね?」

「ここぞというときって?」

このワインが昔の職人と今のオーナーを繋いでいると考えるとその絆の強さを感じる

…あたしもハルと繋がっていたいな…

見るもの聞くものすべてが遥と結び付き、未来への希望に繋げたくなる
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