アイ・ラブ・おデブ【完結】
視界の端で小夜がバッグを掴み、よろよろと部屋を出ていくのが見えた

追いかけてこの腕の中に抱き締めたくなる衝動を必死に抑え、息を止めて玄関の扉が閉まる音を聞く

…くそっ!!あんなに傷つけて…
何を守っているんだ
ちゃんとアパートまで帰れるのだろうか…

心配で後をつけていきたい気持ちをぐっと堪えてソファに仰向けになった

天井の照明が明るく照らし、その眩しさが目に滲みてくる

…どこで歯車が狂ったんだ…
この手の中に確かにあった温もりはもう僕のものではない
あんなに冷たい態度で君を拒んで…
わざと名前を呼ばなかった
本当は名前を呼びたかった
でも…その名を口にしたら君と別れることはできなくなってしまうだろう
…ごめんな…さあや…
君が笑顔で幸せになれる日がきっとくる…
想像すらしたくないが…君を幸せにしてくれる人がいる

勝手な事をしばらく考えてると男二人が帰ってきた
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