アイ・ラブ・おデブ【完結】
魔王の膝元に集合
鼻息荒く、飛行機を降りた小夜は、華の都の到着ロビーで待つ親友を見つけた

「小夜~!こっちこっち!」

満面の笑みを浮かべ、両手で大きな紙を頭上に掲げている

"人生の岐路へ
   ようこそ!!"

白い紙に真っ黒な墨で堂々と書かれたそれは、沢山の人の中でも異様に目立っていた

…ちょっと待って…田舎に帰ったんじゃないの?
正月はこたつでミカン食べながら過ごすって…
ここにはこたつもおせち料理もないんじゃ…

処理しきれない疑問を抱えたままスーツケースを押して近づいた

「…由美子…さん?
ここ…田舎じゃ…」

「バッカねぇ!
ウチの両親がシャンパン飲みながら紅白見るわけないじゃない!
正月なんて毎年来るんだから!!
今年は小夜のビックイベントを見逃すわけにはいかないよ~
さっ!向こうに車を待たせてあるから!行こう!」

先程まで頭上に掲げていた、目立ち過ぎの大紙を隣の外人さんが嬉しそうに受け取り、由美子は当然のようにそう口にした

そして、スーツケースを奪い取り、鼻唄まじりに出口に歩き出した

…たしか…三日前…田舎に帰るってアパートを出たよね
メールにも実家でのんびりしてるって…
…騙された?
由美子さんの行動力と好奇心の強さを忘れてた…

待たせてあるという車を見てさらに驚かされた
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