アイ・ラブ・おデブ【完結】
「…本っ当に…勢いだけで来たのね」

小夜の計画を聞いた由美子は少し呆れた声で呟いた

「あの魔王の動きは仕入れといたわ
年明けには映画の打ち合わせでアメリカへ行くみたいよ
それまではパリにいるんじゃない?
あんたの会いたい男は…付いて行かないと思うから…
新しい店のオープンは暖かくなってから…3月を予定しているみたい
準備期間中でしょう
…魔王と対決するの?」

先程とは違う真面目なトーンで聞いてきた

「う~ん…あたしはハルの気持ちを知りたいだけだから…
環さんに会ってどうしたいなんてない…
…むしろ…会わない方が…」

尻つぼみに声が小さくてなってしまう

環さんの自信に溢れた態度とその美貌の前には、小夜の小さな決意など木っ端微塵になるのが目に見えている

もしも、会ってしまえばこれまでの遥との時間さえも奪われてしまうような恐怖がわき上がってくる

俯いた小夜に優しい声がかけられた
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