アイ・ラブ・おデブ【完結】
窓に写る自分の顔を見つめた

丸い顔をした大人の小夜がそこには写っている

しかし顔を歪ませ、涙をこらえている幼い自分の姿が見えていた

あれは…

まだ小学校に上がる前の祖母の部屋…

仏壇から漂う線香の香り…
聞こえてくるのは忙しなく裏の雑木林で鳴く蝉の声だけだ

そんな静寂を切り裂く声が響いた

「また!お前は何度言うたら分かる?」

目を吊り上げた祖母が50センチの竹尺を振り下ろした

バチッと正座をしている小夜の太ももが音を立てた

…イタッ!

声が出ないようにと歯を食いしばり堪えた

声は我慢できたが小夜の目から涙が溢れ出してしまう
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