七つの椅子
「あぁ、ごめんごめん」
エレナは呆れた様に目を伏せ溜め息をつく。
「いいわよ、別に。…シスターが食堂に案内してくれるから行くわよ」
微笑んだシスターが歩き始めたので、その後について歩く。
「なんで食堂?」
隣を歩くエレナをチラリと見る。
「簡単に椅子の見た目を話して、その椅子を探してるって言ったら食堂にならあるかもしれないって…」
エレナは前を歩くシスターの背中を見つめながら答えた。
静かな広い教会に三人の靴音が響く。
食堂と聞いて“最後の晩餐”が見れるかもしれないと思ったが、あれはイタリアのミラノに建つ教会の食堂なので、俺はその淡い期待を捨てた。
シスターはマリアを挟んだ右側の扉を開け『こちらです』と言った。
エレナはシスターに頭を下げ食堂に入ったので、俺も同じ様に頭を下げてから中に入った。
食堂は縦長に広い部屋になっていた。
勿論壁には何も描かれていない。