花とキミ*秋・冬
「あ‥花菜ちゃん‥起きた?」
声のした方に、顔を向けると
相変わらず爽やかな笑顔の尋翔さん。
「尋翔さん‥ここは?」
声が、少し掠れた。
「若葉高校の保健室だよ。
花菜ちゃん、覚えてない?」
確か‥‥尋翔さんに連れて来られて
サッカー部の練習を見に来て‥
電話がかかってきて‥
そこでバッと体を起こした。
私‥‥尋翔さんの前で
大泣きしちゃった?
「‥大丈夫?」
「あの‥はい。大丈夫なんですけど、
その、ごめんなさい。
いきなり、泣き出したりして‥」
「気にしないで。
花菜ちゃんが、
それでスッキリ出来るなら‥
俺の胸くらい、いつでも貸すから。
じゃあ、帰ろうか。」
なんて言って、尋翔さんは微笑んだ。