スキミー・ストイック【短編】

「なに言ってんだ、書記が今日になっても書類の存在に気付かないから教えてやったんだろ。寧ろ感謝しろ」

「いやいやだったらさっき片付けた書類より先にそっちを指示してくださいよ!」

「うるさい奴だな…今思い出したんだよ」


 なんとふてぶてしい言い方…!!

 怒りを収めようとして咽喉に流し込んだコーヒーはすっかり冷め切っていて、逆に物悲しい気持ちに襲われた。

 …ということは…今日も最後まで帰れないのか…。

 わたしの早帰り計画は水の泡ってわけね…。

 はぁ…、意思とは反して暗い溜息が零れ落ちた。


「……なんだ書記、不満か」

「ちょ、睨まないでくださいよ!」

「書記がこれ見よがしに溜息吐くからだろ」

「だって……、」
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