この手、あの手。


私が机と椅子を運んでくると、みんな驚いた顔をしていた。


「なんで?」

「誰か片付けたんじゃなかったの?」

みんな私を見ては陰でコソコソと話す。

さっきまで私を空気扱いしてたくせに。


「実乃梨……」

後ろにいる聖治が話しかけてきた。


え……。


「これ、実乃梨の」

聖治に渡されたのは、私の上履きだった。


もしかして聖治が、私の為に机と椅子、それに上履きまで隠してくれてたの?

聖治が?


嬉しいけど、とても複雑な気持ちだった。


「ありがと……」

とりあえずお礼だけは言った。

その光景を、クラスメートは好ましくない態度で見ていた。


聖治、あんたまでいじめられないでね。



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