恋愛ビギナー
「おにーさん、この子怖がってるよ?」
「お、おまえ誰だよっ?!」
「えー、俺?この子の彼氏。結構有名だと思ってたんだけどなぁ」
と、抑揚のない声で話しているが、内心すごいむかついている。
その汚い手で綾那に触りやがって。
そう思う俺は、楓が言うように相当独占欲が強いのかもしれない。
そんな俺のバカにしたような物言いが癪に触ったのか男が殴りかかってきた。
フッ・・・、バカだね。
万が一に備えて綾那を遠くに行かせるため背中を押し、そのまま男のみぞおちを手の甲で押した。
「ざーんねん、俺昔合気道習ってたから」
その言葉を聞いて青くなった男は、俺から逃げるように走り去った。