始末屋 妖幻堂
「・・・・・・う~ん。お前さん、俺っちをあそこまで運べるかい?」

 鳥は、じっと祠を見た後、ちらり、というように千之助を見上げる。
 そして、ばさばさと忙しなく羽を動かしながら、彼の傍まで飛んできた。

「行けそうかい? んじゃ頼むぜ」

 千之助は、ひょいと炎の鳥の背に飛び乗った。
 途端に鳥は、力強く羽ばたいて、洞窟から飛び出す。
 そのままぐんぐんと、頭上の祠を目指した。

「こいつぁ・・・・・・」

 炎の鳥の背から祠を覗き込んだ千之助は、眉を顰めた。

 石造りの祠の中には、一体の像。
 その像は、真っ黒な全身を鎧で覆い、赤い髪の毛を振り乱している。

 しばらくじっと祠の像を睨んでいた千之助は、炎の鳥を操って、祠ぎりぎりまで近寄った。
 手を伸ばし、像の額に触れる。

「・・・・・・」

 閉じていた目を開くと、千之助は像が右手に持っていた剣を取った。
 そのまま鳥を促し、千之助は元の洞窟に戻った。
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