始末屋 妖幻堂
「こいつに用だって? おい兄ちゃん。あんたもこいつの仲間なんか?」

 佐吉の胸倉を掴んでいた男が凄む。
 手を離すと同時に佐吉を投げ出し、ずいっと千之助のほうに踏み出した。

「んん? もしかして、新たな人材か? 珍しく健康そうじゃねぇか」

「小せぇし、力仕事なんぞできないような気がするがなぁ」

 けけけっと、頭巾の小男がせせら笑う。
 そういう小男は、千之助よりも随分小さい。
 人のことを言えた義理ではないのだが。

「人材ってことぁ、あんたらが佐吉から村人を騙し取ってたんかい」

 千之助は、背の高い男を見た。
 おそらくこいつが頭だろう。

「あんたは、伯狸楼の男衆か?」

 千之助の言葉に、男の片眉が僅かに上がった。
 酷薄そうな目が、ちらりと傍らの男に移る。
 先程佐吉を捕まえていた男だ。
 いかにも荒事好きそうな、大柄な上に筋肉隆々の身体である。

「てめっ! 何知ってやがる!!」

 頭の男の視線を受け、大柄な男は叫びつつ千之助に掴みかかった。
 突き出される手をひょいとかわし、千之助は薄く笑う。

「単細胞だねぇ。肯定したも同然だぜ」
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