始末屋 妖幻堂
「え、え? おさん婆っ・・・・・・」
きょろきょろと外を見回す遊女らは、何が起こったのかわからずに、外におさんの姿を捜す。
千之助は、一番窓枠に近い桃香を、足で欄干に押し上げた。
「さぁ、さっさと出てくれ。ぐずぐずしてると、あっという間にここだって火の海だ」
「うわわっちょ、ちょっとっ! 危ないじゃないか、何するんだよ」
桃香は慌てて仰け反った。
お陰で折角押し上げたのに、また足が降りてしまう。
「落ちるじゃないか。殺す気かい?」
キッと睨む桃香だが、千之助は容赦なくその尻を蹴り上げた。
「ぐだぐだ言うんじゃねぇ。とっとと外に出ねぇか。先に行かせてやるだけでも、有り難ぇと思いやがれ!」
いつものどこか軽い小間物屋とは思えない。
聞いたこともないような言葉を浴びせられ、桃香は思わずわたわたと欄干を掴んだ。
「ほれ。一旦屋根に降りて、向こうに行くんだ。端まで行ったら、隣の廓の屋根に移れるだろ。そこまで行けば、後はお隣さんが助けてくれるさ」
若干口調を和らげ、千之助は顎で屋根の先を示して言った。
きょろきょろと外を見回す遊女らは、何が起こったのかわからずに、外におさんの姿を捜す。
千之助は、一番窓枠に近い桃香を、足で欄干に押し上げた。
「さぁ、さっさと出てくれ。ぐずぐずしてると、あっという間にここだって火の海だ」
「うわわっちょ、ちょっとっ! 危ないじゃないか、何するんだよ」
桃香は慌てて仰け反った。
お陰で折角押し上げたのに、また足が降りてしまう。
「落ちるじゃないか。殺す気かい?」
キッと睨む桃香だが、千之助は容赦なくその尻を蹴り上げた。
「ぐだぐだ言うんじゃねぇ。とっとと外に出ねぇか。先に行かせてやるだけでも、有り難ぇと思いやがれ!」
いつものどこか軽い小間物屋とは思えない。
聞いたこともないような言葉を浴びせられ、桃香は思わずわたわたと欄干を掴んだ。
「ほれ。一旦屋根に降りて、向こうに行くんだ。端まで行ったら、隣の廓の屋根に移れるだろ。そこまで行けば、後はお隣さんが助けてくれるさ」
若干口調を和らげ、千之助は顎で屋根の先を示して言った。