始末屋 妖幻堂
ところがそうもいかないのが世の常。
おさんのお陰で遊女らの阿片による影響は、ほとんどなかった。
故に遊女らに関しては、怪我が治り次第、落ち着いたら身の振り方を考えればいい。
小太は牙呪丸の正体を見て肝を潰したようだが、意外にそれからも怖がる素振りはない。
長く妖幻堂に入り浸ったお陰で、何となくこの店に漂う普通でない空気に気づいていたのかもしれない。
そういうモノがいても、おかしくないと思っているようだ。
なかなか肝の据わったこの小僧を、千之助は若干頼もしく思う。
今小太は、元の八百屋と、この妖幻堂を、忙しく行き来している。
八百屋の皆が小太を忘れていたのは、おさんが軽く幻術的な何かをかけていたらしい。
記憶を壊すようなものではなく、ある事柄に関することのみが、全く気にならないというものだ。
例え小太の名前を出されたところで、空気のように脳みそを滑ってしまう。
その程度のものなので、おさんが術を解くまでもなく、小太本人が帰れば元に戻る。
しかも店に帰ってきた小太の姿は、傷だらけだった。
そのため店の者皆が仰天し、その衝撃で一気に術が解けたらしい。
伯狸楼の者に拉致されたと言う小太に、店の主人はすぐさま奉行所に届け出たが、その頃にはすでに、伯狸楼はすっかり灰になっていた。
結構な大店の小僧を拉致して痛めつけたということは町中に広まり、元々評判もあまり良くない廓だったため、伯狸楼の楼主がまだ生きていたとしても、最早見世は再興できないし、それどころかお縄だろう。
小太は店で手厚く介抱され、今ではきちんと店の仕事もこなしている。
その合間やお使いがてら、妖幻堂に足を運ぶのだ。
目的は小菊である。
おさんのお陰で遊女らの阿片による影響は、ほとんどなかった。
故に遊女らに関しては、怪我が治り次第、落ち着いたら身の振り方を考えればいい。
小太は牙呪丸の正体を見て肝を潰したようだが、意外にそれからも怖がる素振りはない。
長く妖幻堂に入り浸ったお陰で、何となくこの店に漂う普通でない空気に気づいていたのかもしれない。
そういうモノがいても、おかしくないと思っているようだ。
なかなか肝の据わったこの小僧を、千之助は若干頼もしく思う。
今小太は、元の八百屋と、この妖幻堂を、忙しく行き来している。
八百屋の皆が小太を忘れていたのは、おさんが軽く幻術的な何かをかけていたらしい。
記憶を壊すようなものではなく、ある事柄に関することのみが、全く気にならないというものだ。
例え小太の名前を出されたところで、空気のように脳みそを滑ってしまう。
その程度のものなので、おさんが術を解くまでもなく、小太本人が帰れば元に戻る。
しかも店に帰ってきた小太の姿は、傷だらけだった。
そのため店の者皆が仰天し、その衝撃で一気に術が解けたらしい。
伯狸楼の者に拉致されたと言う小太に、店の主人はすぐさま奉行所に届け出たが、その頃にはすでに、伯狸楼はすっかり灰になっていた。
結構な大店の小僧を拉致して痛めつけたということは町中に広まり、元々評判もあまり良くない廓だったため、伯狸楼の楼主がまだ生きていたとしても、最早見世は再興できないし、それどころかお縄だろう。
小太は店で手厚く介抱され、今ではきちんと店の仕事もこなしている。
その合間やお使いがてら、妖幻堂に足を運ぶのだ。
目的は小菊である。