始末屋 妖幻堂
「へへ。今回の仕事料で、金は結構入ったからな」

 茶を飲みながら、千之助は懐を叩く。
 呶々女は団子を一本手に取り、牙呪丸の横に座った。

「結局千さんは、裏金を小太、普通の支払いを佐吉に払わせたってことかい」

「まぁ・・・・・・そうさな。佐吉の未来は、あんま大したことなかったしな。あれだけの大事に見合うだけのモンじゃなかった。小菊との未来を取っちまうと、後々俺っちが困るしな。それ以外にゃ、大して取るモンもなかった」

「小太からその分取ったってことかい。・・・・・・小太からしたら、踏んだり蹴ったりだね。小菊にゃ振られる、未来は取られる」

 ははは、と笑い、千之助は帯に挟んだ煙管を取り出し、口に咥えた。

「そうでもねぇ。良い経験だったろうぜ。あいつぁああ見えて、なかなか肝っ玉の据わった、正義感の強い奴だ。一回や二回の失恋ぐれぇ、どってこたねぇさ。それにだ、そもそも今回の仕事は、元々あいつが持ち込んだ仕事じゃねぇか」
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