執着王子と聖なる姫
今後の授業内容の説明や自己紹介などの面倒なものが一通り終わり、30分間の「交流時間」と言う名の休憩時間を与えられた生徒達。

どうやら、皆素直にそれぞれ近くの席同士で交流を深めているらしいのだけれど、異色な二人組は違った。

「どこ行くの?」
「自販機。コーヒー」
「ワタシも!」

席を立った愛斗を追うように立ち上がったレベッカに、クラスメイトの視線が集まる。

「見られてんぞ」
「マナが?」
「俺であってたまるか。お前が騒ぐからだろ」
「置いてこうとするから!」

誰かこの女をどうにかしてくれ!と、内心愛斗は叫びたかった。

叫んだところで、どうにかしてくれる誰かがいるとは到底思えないけれど。


「面倒くせーな。来るなら来いよ」


吐き捨てるようにそう言った愛斗に、レベッカは「うん!」と嬉しそうに笑った。
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