執着王子と聖なる姫
「MEIJI、手が空いてるなら髪切ってくだサーイ」
相変わらず「読める女」のレベッカは、二人を引き離すべくメーシーに強請る。それに気付いたメーシーは、いつものようにふふっと笑いレベッカの手を取った。
「では、こちらへどうぞ、お姫様」
クスクスと笑いながらメイクルームへ移動する二人の背中を見送り、愛斗はギュッと唇を噛む。それを見逃さないのが晴人だ。
「セナ、泣かすなよ?」
「泣きませんよ、アイツは」
聖奈の性格からして、そんなことはあり得ない。父親としてそれが手に取るようにわかる晴人は、悔しいけれど「そやな」と言うしかなかった。そんな晴人に、愛斗は言う。
「ハルさん…麻理子のこと、本気でした?」
あまりに真剣な眼差しを向けられ、晴人はたじろぐ。けれど、黙り込むわけにはいかない。相手は愛斗なのだから。
「まぁ…本気のような、そうでないような…でもまぁ、何としてでも落としたい思うたんは、あいつだけかもな」
「そうっすか」
「気になるか?俺とマリのこと」
なると言われてもどうしようもないのだけれど、やはりここは訊いておくべきだろう。そう判断して訊ねた晴人に、愛斗は滅多に見せない優しげな笑みを見せた。
「なんないです。俺、メーシーのこと好きっすから」
マリよりもメーシー。メーシーの過去に興味はあっても、マリの過去に興味はない。
アッサリとそう告げる愛斗に、晴人は苦笑いを返すしかなかった。
相変わらず「読める女」のレベッカは、二人を引き離すべくメーシーに強請る。それに気付いたメーシーは、いつものようにふふっと笑いレベッカの手を取った。
「では、こちらへどうぞ、お姫様」
クスクスと笑いながらメイクルームへ移動する二人の背中を見送り、愛斗はギュッと唇を噛む。それを見逃さないのが晴人だ。
「セナ、泣かすなよ?」
「泣きませんよ、アイツは」
聖奈の性格からして、そんなことはあり得ない。父親としてそれが手に取るようにわかる晴人は、悔しいけれど「そやな」と言うしかなかった。そんな晴人に、愛斗は言う。
「ハルさん…麻理子のこと、本気でした?」
あまりに真剣な眼差しを向けられ、晴人はたじろぐ。けれど、黙り込むわけにはいかない。相手は愛斗なのだから。
「まぁ…本気のような、そうでないような…でもまぁ、何としてでも落としたい思うたんは、あいつだけかもな」
「そうっすか」
「気になるか?俺とマリのこと」
なると言われてもどうしようもないのだけれど、やはりここは訊いておくべきだろう。そう判断して訊ねた晴人に、愛斗は滅多に見せない優しげな笑みを見せた。
「なんないです。俺、メーシーのこと好きっすから」
マリよりもメーシー。メーシーの過去に興味はあっても、マリの過去に興味はない。
アッサリとそう告げる愛斗に、晴人は苦笑いを返すしかなかった。