執着王子と聖なる姫
「いつ気付いたの?」
「さあ。ただでは教えてあげない」
「意地悪」
伸びてくる指先と、ゆっくりと伏せられるアイスブルーの瞳。勝ったのは、メーシーだった。
一度目は軽く、二度目は深く、三度目は息も出来ぬほど。
重なった唇の合間から洩れる甘い吐息に、レベッカはもう正気ではいられなかった。
「MEIJIが愛してるのは、マリコ」
「そうだよ。俺は麻理子を愛してる」
瞳を潤ませるレベッカの髪を撫ぜ、メーシーは「綺麗になったね」とアイスブルーの右目に唇を寄せた。
まだNYで仕事をしていた頃、仕事で行ったLAで変わったモデルをメイクしたことがある。そのモデルは左目に黒い眼帯をし、いくら頼んでもそれを外してはくれなかった。
「モデルは辞めたの?」
「もう辞めたわ。日本に来るために」
「君は綺麗だよ。俺がメイクすれば、きっとうちの奥さんよりずっと綺麗になる」
あの日、初めて会った日、メーシーは同じことをレベッカに言った。
それに堪らず涙を零すレベッカを抱き寄せ、メーシーはゆっくりとレベッカの長い髪を撫でる。
「この髪、もう要らない」
「どうして?こんなに綺麗なのに」
「いくら頑張ったって、私はマリコにはなれない」
髪もメイクも、現役モデルだった頃のマリを真似た。
けれど、どうしてもマリにはなれない。
愛されたいと願えば願うほど、レベッカにはそれが遠退く気がした。
「じゃあ切ろう。今よりうんと短くして、俺が「レベッカ」にしてあげるよ」
完全に負けを受け入れるしかなくなったレベッカは、ただただメーシーにされるがままだ。
鏡に映る自分の姿を見て、レベッカは満面の笑みを見せた。やはりそれは、大輪のひまわりがパッと咲いたかの如く明るく鮮やかで。
「こっちの方が君らしい。さすが俺」
短くなったレベッカの髪を撫で、メーシーも普段あまり見せない爽やかな笑顔を見せる。
「さあ。ただでは教えてあげない」
「意地悪」
伸びてくる指先と、ゆっくりと伏せられるアイスブルーの瞳。勝ったのは、メーシーだった。
一度目は軽く、二度目は深く、三度目は息も出来ぬほど。
重なった唇の合間から洩れる甘い吐息に、レベッカはもう正気ではいられなかった。
「MEIJIが愛してるのは、マリコ」
「そうだよ。俺は麻理子を愛してる」
瞳を潤ませるレベッカの髪を撫ぜ、メーシーは「綺麗になったね」とアイスブルーの右目に唇を寄せた。
まだNYで仕事をしていた頃、仕事で行ったLAで変わったモデルをメイクしたことがある。そのモデルは左目に黒い眼帯をし、いくら頼んでもそれを外してはくれなかった。
「モデルは辞めたの?」
「もう辞めたわ。日本に来るために」
「君は綺麗だよ。俺がメイクすれば、きっとうちの奥さんよりずっと綺麗になる」
あの日、初めて会った日、メーシーは同じことをレベッカに言った。
それに堪らず涙を零すレベッカを抱き寄せ、メーシーはゆっくりとレベッカの長い髪を撫でる。
「この髪、もう要らない」
「どうして?こんなに綺麗なのに」
「いくら頑張ったって、私はマリコにはなれない」
髪もメイクも、現役モデルだった頃のマリを真似た。
けれど、どうしてもマリにはなれない。
愛されたいと願えば願うほど、レベッカにはそれが遠退く気がした。
「じゃあ切ろう。今よりうんと短くして、俺が「レベッカ」にしてあげるよ」
完全に負けを受け入れるしかなくなったレベッカは、ただただメーシーにされるがままだ。
鏡に映る自分の姿を見て、レベッカは満面の笑みを見せた。やはりそれは、大輪のひまわりがパッと咲いたかの如く明るく鮮やかで。
「こっちの方が君らしい。さすが俺」
短くなったレベッカの髪を撫で、メーシーも普段あまり見せない爽やかな笑顔を見せる。