執着王子と聖なる姫
時刻は20時。

灯りを落としたカフェで、同じ顔をした年の差のある男二人が対峙していた。

その間には、愉しげな笑顔でレフェリーよろしく二人を見守るマダムの姿。


「あんたにその気は無くても、アイツは本気だよ」


先に口撃を仕掛けたのは、エアコンの風にサラサラと色素の薄い髪を揺らす息子。18歳、オッドアイの美少年。

「そうだね」

受けるは、緩くパーマの掛かった髪を面倒くさげに掻き上げ、口元にだけうっすらと笑みを浮かべる父。48歳、褐色の双眸を持つ美中年。


さて、この勝負如何に?


と、二人の間で視線を往復させながらレフェリーは思う。
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