COLORS~Clear~
そんなことを思いながら、黙りこくっていた私に。

霧島クンは、またフッと微笑みを浮かべると。


「今日は。僕が点てます」
「えっ…?」
「点てるだけじゃなく、味を知ることも。稽古ですから」


席を立った。

追及されなかったことに、内心ホッとしながら。
私も席を立って、霧島クンと入れ替わる。

霧島クンは、数ある茶碗の中から、蒼の茶碗をチョイスする。

空を思わせるような、クリアで、深い、蒼…。


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