COLORS~Clear~
それからも。
週に1度、稽古は続いて。

霧島クンは毎週。
蒼の茶碗で、私にお茶を点ててくれた。

そこから。
痛いほど伝わる、彼の気持ち…。

でも。
私は、心を乱さないようにと。
それだけは、心掛けて。

そこは、私も大人。
心の乱れを。
霧島クンに指摘されることはなかった。


「さすがね。毎週、腕が上がってる気がする」
「ありがとうございます」
「沙奈が悔しがってたのも、わかる気がするわね」
「えっ?」
「同じ道具に同じお茶。使ってるものは、全部同じなのにって」
「あぁ…」


でも…。


「近くで。見たい、とは思いませんか?」
「えっ?」


霧島クンは、仕掛けてきて。

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