甘い誓いのくちづけを
車に乗って最初に感じたのは、ほのかなシトラスの香り。


決して嫌味な感じがしないその柔らかさは、車用の芳香剤かと思いきや、理人さんが今日付けている香水みたい。


理人さんの事はまだよく知らないのに、何だか彼に似合っている気がした。


そんな事を考える余裕はあるのに、相変わらず全身を包み込むような緊張は解れない。


「お腹空いてる?」


「いえっ、あっ、はい!」


突然尋ねられた事に驚いて肩が跳ね上がり、言葉が勝手に飛び出してしまった。


どちらとも取れるようなあたしの返事に、理人さんがクスクスと笑う。


「それって、どっち?」


「……えっと、どっちでしょう?」


「あれ?クイズ?」


思わず疑問形で返すと、理人さんが肩を震わせた。


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