甘い誓いのくちづけを
「遅刻して来たのはそっちだろ」


そんな声とともに姿を現したのは、理人さんと同じ背丈くらいの男性だった。


金髪に近い茶色の髪には軽くパーマが当たっているのか、毛先を綺麗に遊ばせたセットになっている。


二重の瞳とスッと通った鼻筋を持ち合わせた顔は、理人さんに負けない程の美形だった。


「別に遅刻はしてないだろ。それに、さっきまで仕事だったんだよ」


「こっちは、本来なら休みのはずだったんだけど」


「不定休なんだからいいだろ」


「良くない」


状況が把握出来ないままのあたしは、理人さんと英二さんの会話に耳を傾けるだけで精一杯。


理人さんの隣でキョトンとしていると、英二さんの視線があたしを真っ直ぐ捉え、その綺麗な瞳をフワリと緩めた。


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