甘い誓いのくちづけを
「初めまし……あれ?」


挨拶を切り出した英二さんが、途中で目を小さく見開いた後で何かを考え込むように首を傾げた。


彼に続いて挨拶を返すつもりだったあたしは、どうすればいいのかわからなくなる。


「……なぁ、理人。この子って……」


「荻原瑠花さんだよ。つい最近知り合った」


「いや、そうじゃなくて、この子……」


「何だよ?」


何か言いたそうな英二さんに対して、理人さんが有無を言わせないような笑みを向ける。


程なくして、英二さんはため息をついて首を横に振った。


二人が何かを隠している気がするのは、ただの気のせいだろうか。


確かめようとして口を開こうとした時、それよりも早く英二さんが笑みを浮かべた。


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