甘い誓いのくちづけを
「そっか」


内容が内容なだけに、誕生日を知った経緯以外はほとんど省略して話したけど…


「そういえば、時々こっちの方まで買い出しに来るって言ってたな」


理人さんは納得したみたいで、独り言のようにそんな事を口にした。


「だから……あの、大した物じゃないんですけど……。もしよかったら、受け取って頂けますか……?」


中途半端に差し出したままの紙袋を、彼の胸元に怖ず怖ずと近付ける。


付き合ってもいない男性にプレゼントをしたのは初めての事で、理人さんにどう思われているのか…。


それが、とてつもなく不安だった。


だけど…


そんな気持ちを抱いていたあたしに向けられたのは、胸の中いっぱいに甘さが広がるような極上の笑みだった。


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