甘い誓いのくちづけを
昨日の楽しかった時間を思い出して笑みを零していると、何を思ったのか理人さんが片手でネクタイを緩め始めた。


突然の事にキョトンとしながらも、片手だけで器用にネクタイを外す動作に見入ってしまう。


そんなあたしに、理人さんはどこか悪戯な笑みを浮かべた。


「ねぇ、瑠花ちゃん」


「はい」


「もう一つ、プレゼントをくれる?」


「え?」


小首を傾げたあたしにおもむろに差し出されたのは、たった今プレゼントしたばかりのネクタイ。


「着けて?」


続けて零されたお願いに、これでもかと言うくらいに目を大きく見開いてしまった。


「……っ、あっ、あたしがですか!?」


大声で訊き返したあたしに、理人さんがフワリと微笑んだ。


< 218 / 600 >

この作品をシェア

pagetop