甘い誓いのくちづけを
肩で息をするあたしの唇に、もう一度唇が落とされる。


今度は、触れるだけのキス。


離れていく唇に名残惜しさを感じていると、理人さんがクスリと笑った。


「……そんな顔しないで。後で、もっとしてあげるから」


物欲しげな顔をしていると暗に告げられて、頬がカァッと熱くなる。


「そんなつもりじゃ……」


視線を泳がせた時、ちょうどあたし達の方に向けて設置されているカメラの存在に気付いて、目を大きく見開いた。


あたしの視線に釣られるように振り返った理人さんも、その存在に気付いたみたいだけど…


「……あぁ、監視カメラか。監視してる人に見せ付けちゃったね」


彼は瞳を緩めて悪戯に微笑みながら、しれっと言い放った。


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