甘い誓いのくちづけを
もっとたくさん自分の気持ちを伝えていたら、何かが変わっていたのかもしれない。


もっときちんと話し合っていれば、お互いをずっと思いやれていたのかもしれない。


だけど…


あたし達が一緒にいた時間はもう過去の事だから、頭の中に浮かんだそんな“たら”や“れば”をそっと押し退ける。


それから小さな深呼吸をして、文博に自嘲混じりの笑みを向けた。


「あたし達、もっとちゃんと向き合えば良かったのかもしれないね……」


今更彼との事を悔やむつもりは無いけど、ただ純粋にそう思った。


気付くのが遅かったけど、今こうして気付けて良かった。


だって…


理人さんとは同じ過(アヤマ)ちを繰り返したくは無いと、とても強く思えたから…。


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