甘い誓いのくちづけを
「なぁ、瑠花……」


ほんの少しだけすっきりとしたような気持ちになって、自然と笑みを浮かべながら文博を見つめた。


「何?」


すると、彼はどこから出したのか、小さな箱をあたしの前に差し出した。


見覚えのあるそれに目を見開くよりも早く、文博が口を開いた。


「俺達、やり直さないか?」


さっきは見開く事が出来なかった瞳が、思わず大きく開く。


「もう二度と浮気なんてしない。瑠花を傷付けてしまった罪を簡単に償えるとは思ってないけど、俺に出来る事なら何でもする。……俺には、瑠花が必要なんだ。離れてみて初めて、それを思い知ったんだよ……」


言葉を失うあたしを余所に、文博は真剣な表情でそんな事を話してから箱をそっと開けた。


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