甘い誓いのくちづけを
「ごめんなさい……」


あたしの中には、もう理人さん(ホカノヒト)がいる。


彼以外に心が囚われる事はきっと無い、と思える程に大切な男性(ヒト)。


文博の事は確かに好きだったし、彼と別れてからまだたったの9ヶ月しか経っていないけど…


そんな事なんて考えられない程、今の自分(アタシ)は理人さんだけを想っているから…。


「文博にはちゃんと伝わってなかったのかもしれないけど、付き合ってた時は本当に文博の事が好きだったよ……。だけど……」


俯きそうになるのを堪えて、深呼吸をしてから文博を見つめる。


「今は、すごく大切な人がいるの」


迷いの無い気持ちをはっきりと告げた時、今日初めて彼の瞳を真っ直ぐ見つめる事が出来た気がした。


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