甘い誓いのくちづけを
明かされていくのは、あんなにも知りたいと思っていた理人さんの過去。


それなのに…


理人さんの話を聞く度に、胸の奥が静かに痛む。


「俺がそれを聞いたのは、二十歳の時だった」


ゆっくりと零された言葉に、英二さんの話を思い出す。


『あいつが二十歳の頃、親から告げられた事にショックを受けて自棄になってた事があってさ』


二人の話が繋がっている事に気付いて口を開こうとしたけど、理人さんはそれを制するように続けた。


「それまで本当の両親だと思っていた貴島の両親と血が繋がってない事を知ったのはもちろんだけど、それを20年間も隠されていた事がすごくショックだった……」


こんな時にまで落ち着いている彼の声が、胸の奥をギュッと締め付けた。


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