甘い誓いのくちづけを
それはきっと、理事長が話してくれたあの日の事…。


「今よりもずっとあどけない笑顔の瑠花が、子ども達に囲まれてた」


強い陽射しと、水飛沫(シブキ)。


夏を連想させるそれらは、あの日の自分(アタシ)が子ども達と浴びていたもの。


ずっと忘れていた記憶なのに、今はその時の暑さすら鮮明になっていく気がした。


「無邪気に笑う瑠花を見て、何だか久しぶりにホッとしたんだ」


柔らかく緩められた瞳が、愛おしげにあたしを見つめる。


「理事長に会っても自分の気持ちを上手く吐き出せなくて、何をどう伝えればいいのかわからなかった。そんな状況だったのに、俺は庭にいる瑠花の事が気になっててね……」


理人さんは、綺麗な表情を崩してフッと笑った。


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