甘い誓いのくちづけを
例えば、最初から理人さんの立場を知っていたとしたら、あたしはこの恋に対してもっと躊躇っていたと思うし、慎重になっていただろう。


今だって、彼との身分が違い過ぎる事に不安も戸惑いもある。


だから、理人さんが出来るだけ素性を隠そうとしていた理由も、今ならわからない訳じゃない。


だけど…


「あたしは……」


それでも、あたしだって一言くらいは言わせて貰いたい。


「あたしは、理人さんが普通の会社員だろうと御曹司だろうと、好きになってましたっ……!そりゃあ、普通なら出会う事すらなかっただろうけど、あたしは理人さんだからこそ好きになったんですっ!!」


綺麗な顔をキッと睨んで放った想いは、どうしても一言では収まり切らなかった。


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