甘い誓いのくちづけを
「ごめん……。何度でも謝るよ。だから泣かないで……」


そう零した理人さんは、あたしなんかよりもずっと苦しそうで…


「瑠花に泣かれると、どうすればいいのかわからなくなるんだ……」


あたしを見つめる瞳は、今にも涙を浮かべてしまいそうだった。


傷付いたのは、きっとどちらも同じ。


それはよくわかっているからこそ、謝罪の言葉なんて望んでいない。


だけど…


「理人さんの気持ちを教えてくれなきゃ、許してあげません……」


今だからこそ理人さんに甘えたくて、彼の首にそっと腕を回した。


耳元でフッと笑いが零された直後、迷う事無く優しい声音が落とされる。


「愛してるよ」


その言葉に胸の奥が熱くなって、涙がポロリと零れ落ちた。


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