キスなんてさせない(短編)
「お母さん、大丈夫?」

「うん。もう大丈夫わよ。陽菜が輸血してくれたのね。ありがとう」

「お母さん、あたし心配したんだからね」

あたしは、泣きながら言った。

「心配かけてごめんね。しばらくは、入院すると思うから」

「お母さん、一体何があったの?」

「それが急に誰かに刺されて……」

「誰に?」

「分からないのよ」

「ごめんね、お母さん。あたしが出かけてたから……」

「いいのよ。それより、初詣楽しかった?」

「うん、楽しかったよ。健太も一緒に来てくれたんだよ」

「健太君が?」

「うん。病室の外で待ってるよ」

「健太君に会いたいから連れて来て」

「分かった」

あたしは、健太の所に行った。

「健太、お母さんが健太に会いたいって」

「分かった」

「お母さん、健太連れてきたよ」

「陽菜、ちょっと外れてくれる?」

「分かった」

あたしは、病室で待った。

何の話、してるんだろう?

あたしは、気になって仕方なかった。



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