キスなんてさせない(短編)
お母さんの事があってあれからもう1ヶ月とちょっと経った。

今日は、お母さんが退院する日。

あたしは、お母さんを迎えに行くため病院に行く。

「お母さん、迎えに来たよ」

「陽菜、ありがとね」

「それよりお母さん、ちゃんと病院の先生にお礼言った?」

「言ったわよ」

「そっか。じゃあ、あたしお礼言ってくるから待っててね」

「1ヶ月、お母さんがお世話になりました」

あたしは、看護師のみなさんにお礼を言った。

「いいのよ。お母さん、本当に助かってよかったわね」

「はい。本当にありがとうございました」

「ご丁寧にありがとね。じゃあ、気をつけて帰ってね」

「はい」

「お母さん、帰るよ」

「陽菜、しっかりしたね」

「別に」

「照れちゃって」

「照れてないよ」

そう言えば、あたしお母さんとこうして並んで歩くの久しぶりかも……

あたしは、お母さんに反抗期ばかりしていた。

今さらだけど、悪かったな~と思った。

「陽菜、いろいろと心配かけたね」

「その話は、もういいよ。それより、健太に何て言ったの?健太に聞いても教えてくれないし……」

「お母さんと健太君の2人だけの話。まあ、その内分かるわよ」

お母さんも教えてくれない……

もう何話してたか気になるじゃん。

「ズルイ。何で教えてくれないの?」

「陽菜には、教えない」

お母さんは、いじわるそうに言った。

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