千尋くん、千尋くん
「ちょっと、付き合って」
「………え?」
いきなりそう言って、ガラリと保健室の扉を閉めた彼。
ますます訳が分からないまま突っ立っていると、そんなことを気にも止めず、彼は保健室の窓をひとつ開けた。
サァァッと草木のこすれる音がして、ぽかぽかした春風が入ってくる。
そこに、とても静かで、のんびりとした空間ができあがって。
風でなびいた邪魔な髪を直そうと耳にかけると、窓の前に立っている彼にまたも見とれた。