死への救急搬送2
「全腎協にこれまでの経過と事実をすべて伝え今後可能であれば全国の患者や家族に今回の事故事例を通知していただき患者サイドで間違った救急搬送をされないように身を守れないか話をしました」

「搬送事故事例の通知においてM市の名前が実際に全国の患者や家族に伝えられることになる可能性もありますが今後いろいろ話し合いをするようなので私にはこれからのことはわかりません」

「今日はそのことだけをお伝えに来ました」



フロアーではなく別室に入り、部屋には私と室長だけでした。

室長は私を見つめて言いました。

「全腎協へ話したのですか」

「裁判を起こすことになるかもしれませんよ」



私は自分たちがいい加減な態度でしか私に接してくれないうえに、まともに回答もせず組織防衛で搬送問題を隠ぺいしている彼ら側から裁判を起こすと言ってくるとは思いもしませんでした。

「公金を使って間違いを起こした側が裁判を起こすのですか」



室長は素知らぬ顔で明確に言いました。

「そうですよ。私たちには顧問弁護士がおりますので相談して裁判にすることも考えられるでしょう」
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