ピュアなんです。
言葉を詰まらせる中野。
詰まらせると言うより、驚いているように見えるが…どっちどもいい。
「…誠哉。これで満足かー?」
「あ、うん、満足…」
中…誠哉は顔を赤くして黙りこんだ。
そんなに嬉しかったか。
名前呼べば黙るのか。
今度から呼んでやろ。
大人しくなった誠哉は自分の席に着いた。
一段落してため息をつくと、後ろで空気になってた美季を思い出す。
「…なにがあったの」
気のせいか声が低い。
え、忘れられて怒ってる?
「詳しく教えて貰いましょう?浅川棗ちゃーん」
「ひっ!」
ジリジリ迫りくる美季。
目からレーザービームでも出るんじゃないか?
今までで一番怖い。
「ごめん!詳しくは秘密!」
「なんでよー?」
「私だけの秘密じゃないからさ!なか…誠哉の秘密でもあるから…だからアイツのためにごめん!」
「………」
美季はしばらく考える。
だってホストクラブに誠哉がいました、なんて言えるわけない。
しかもその理由も誠哉に秘密されてる。
軽々しくは言えない。
「ものすごいききたいけど…」
美季がボソッと言う。
「まあいいや、ごちそうさま!!」
「は?ごち…?」
そう言って美季も席に着いた。
今日の美季は強引だし、意味不明だ。
ガラガラ
私の後ろの扉が開く。
振り返ると同時に名簿が頭に降ってきた。
バンッ
「いって!」
「何つったってんだあ?鐘なるぞ、浅川」
「む、うるさいですよ、トリッピー」
好きでつったってたわけじゃねーっての。
私は鳥谷を睨んだ。