ピュアなんです。


翌日、朝は普通に登校した。
寝たのが結局2時になってしまって寝不足。
かといって私の元気はそんなもんじゃへこたれない。

「おっはよー」

教室に入ったと同時に美季がタックルを仕掛けてきた。
ぐぶっとお腹の空気が絞り出された。
このやろー、不意打ちは卑怯だ。

「棗!昨日は大丈夫だった?」
「あぁ、大丈夫」

美季本人はタックルする気なんかサラサラなかったようで、全く自覚なし。
心配で飛びついちゃったんだな。

「じゃ、中野君とはどうだった?」
「普通に家まで送ってもらったけど?」
「きたよ、美季サーチャー、フラグビンビン!」
「…美季?」

テンションが異常に高い。
さっきまでの心配したタレ目はどうした。
今は、お星様とかキラキラしたものが映る美季の目。

「他には?他には?」

迫る美季。
タックルされた挙げ句に追い詰められてる。
そろそろ誰かにSOSを出そうとしたとき、下がりつつある背中に誰か当たった。

「あ、ごめん…中野!!」
「おはよー委員長!」

朝から爽やかスマイルで登場した中野。
美季はいつの間にか、私から離れていた。
だが、目は同じ。

「昨日はありがとう」
「いいって、何度も聞いたし。それに…」

中野は目を反らす。
それになんだ?
気になるので何?と迫ってみる。

「て、ゆーか委員長、それ違うだろ!」
「それ?」

私を指差す。
ん?リボン?

「リボン?やっぱりネクタイの方が…」
「ちげーよ!呼び方!昨日言ってくれたじゃん!やっぱりお馬鹿だな委員長は」
「人に言われるとムカつくな!」

たしかに昨日、私はお馬鹿だと言ったけど。
中野に言われるとムカつく。

「つか委員長、昨日のこと夢だと思ってる?」
「ないよ。ちゃんと朝昨日の写メ、チェックしたし」
「!」





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