ピュアなんです。


その日も学校は普通に終わった。
ホームルーム終了の鐘がなる。

「…誠哉!」

バッグを持ち、今にも帰る誠哉を止める。

「なに?」
「豪さんに会いたいんだけど、家にいる?」
「いや、兄貴、今日昼からいなくてそのまま仕事だから。…何、委員長兄貴に惚れたの?」
「ちげーよ。上着返そうと思ってさ」
「ふーん」

誠哉は手を顎にあて、考えた。

「兄貴、委員長に会いたいっつってたし…いく?夜稟」
「え…」

またホストクラブに行くのか…それは悩む。
しかも東京に行ける服なんか全然ないし、ましてやホストクラブだ。
化粧だってしないんだから、豪さんきっと驚く。

「どうしよう」
「深く考えなくていいよ、表にいればいんだし」
「なら…行くよ」

オシャレしたらまたヤクザに襲われるかも知れない。
むしろダサい方がいいのでは?
あれ、なんか勇気湧いてきた。

「じゃ、6時に池袋」
「わかったーまたな」

手を振り別れを告げると、後ろに気配を感じた。
ゆっくり振り返ると、案の定、美季がいた。
ニヤニヤしてる。
ヤダこの子。

「デートの約束ぅ?」
「違う!」
「…ていうか、朝の会話から思ってだけどさ、棗って無意識にときめくこと言うよね…怖い子」
「え、いつ言った?」

美季はため息をついて、もういいよと諦めた。

「へー、あっさん、ガチで無意識なんだ」

いきなり私と美季の間に男が入ってきた。



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