ピュアなんです。


PM5:52
私は池袋やらに到着した。
帰宅ラッシュが始まり、わらわら人間が集まっている。
ここはなんだ。
くそ暑い。

「なーに険しい顔してんの」
「おぉ、来たか誠哉」

隣から声がした。
もちろんそれは誠哉。

「…今日はボーイッシュ?」
「この間はは美季セレクトだよ。今日は私セレクト」

誠哉は私をジッと見つめる。

「なんか安心した。あんな委員長、心臓に悪いから」
「やっぱり、こっちの方が楽だな」

私も今の姿を見ていう。
スカートは捲れるのが心配でロクに歩いてられない。

「いこっか」
「おう!」

そして池袋を出た。
人通りが多くて前を歩く誠哉を見失いそう。
するとふと、誠哉が振り返る。
私をちらっとみると、ふっと笑った。
え、何?
突然、誠哉が私の手を握った。

「ぬ!?」

何!?どうした誠哉!
内心大混乱している私。

「委員長ちっさいからな。……これなら…見失わないだろ」
「…あ、あぁ!そうか」

誠哉はそのまま前へぐいぐい歩く。
まったくこっちを見ない。
私は前なんか見ずに、誠哉と繋がれた手をジッとみていた。
何故だか汗がダラダラ出る。
また眉が寄ってるに違いない。
きっとブサイクな顔をしている。
やがて人通りが減っていく。
だんだん大人の雰囲気が漂う通りに入った。
…人通りが減ったから、もう手を繋がなくてよくないか。
ちらっと誠哉をみると顔がちょっと赤い。
あれ、照れてる?
そして、誠哉が立ち止まる。
ああ、着いたのか。
誠哉が扉を少しだけ開いた。

「丸山さん!!ちょっと!」

丸山さんて誰だ?
中から、低音の返事が聞こえる。
すぐに扉が開き、眼鏡の男の人が出てきた。
丸山さんは私をマジマジと見た。
ひっ怖い!
誠哉があ、と繋がれた手を話した。

「お客様、ではないな。誠哉の彼女か?」

丸山さんは私と誠哉の顔を交互に見つめた。

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