やっぱり、好きだ。

  見ないように見ないように。これ以上青山くんに変な感情を持たない様にと、助手席側の窓の外の流れる景色を見ていると、

 「てか、叔父さんはサヤ子が相撲部屋に住んでるとでも思ってんの?? 多すぎだろ、玉ねぎ」

 青山くんが私の後頭部に話しかけた。ので、青山くんの方を見ざるを得ない。

 「あ。私、去年まで病院の寮に住んでいたので、このくらいの量はみんなであっという間に消費出来てたんですよ。 叔父にはちゃんと『今年からは一人暮らしだよ』って言っておいたつもりだったんですけど・・・去年と同じ量送られて来てしまって・・・。形はいまいちで商品に出来なかった玉ねぎですけど、味は本当においしいので、是非みなさんに食べて頂きたくて・・・」

 来年はしつこく『一人暮らしだから少しでいいよ』と叔父さんに言い聞かせておこう。今年のうちに言っても、きっと忘れるだろうから。

 言い終わって、また窓の外に視線を移す。

 「なるほどねー。あ、サヤ子今日何時に帰る?? 帰りも乗っけてくよ」

 後頭部に、今度は青山くんのいらない優しさが飛んできた。 勘違いされたくなかったら、気軽にそういう事を言わないで頂きたい。ただでさえ私、ストーカー気質なのに。青山くんも青山くんだ。危機管理能力がなさすぎる。
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