やっぱり、好きだ。







 「サヤちゃん!!??」

 俺の隣を歩いていた森田が突然走り出した。

 森田はアフリカ人並みに目が良い。

 構内から、校庭を歩くサヤ子を見つけた。

 俺も慌てて森田を追いかける。

 森田はアフリカ人並みに足も速い。

 あっという間にサヤ子に追いつく森田。

 「サヤちゃん!!」

  急に呼ばれたサヤ子が驚いて振り向いた。

 「あ、森田くん」

 「サヤちゃん、なんで学校来なかったの?? 進級は出来たの??」

  森田がサヤ子の二の腕をがっしり掴む。

 「あ。・・・青山くんも」

 森田にがっちり腕を握られたままのサヤ子が、遅れて走ってきた俺に気が付いた。

 「何で電話もメールも返事くれねーの?? もうサヤ子をストーカーとか言うヤツいないから。だから、話がしたい」

 サヤ子と話がしたかった。謝りたかった。やっと会えたサヤ子に必死に訴えかける。

 「ちゃんと進級したよ。短期留学してたんだ」

 俺の事を許せないのだろう。サヤ子は何とも言えない苦々しい笑顔を浮かべると、俺の質問には答えず、森田にだけ返事をした。
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