やっぱり、好きだ。
「・・・まぁ、そうだよね。お互い『好き』ってだけなのに法に触れるなんて変だよね。私も応援はするけど、飲み会に連れてくるのは遠慮して欲しいかな。バレたらマズイし」
桜井先生の言葉に朝倉先生が頷いた。
「つーか、彼氏未成年じゃん。もともと無理じゃん。何この発表。つか、彼氏の卒業まで付き合うの待てっつーの。大人なんだから」
『意味分からん』と呟いてビールに手を伸ばすと、
「分からんかなー?? 彼氏出来てみんなの前で発表したいとか、可愛いじゃん、優たん。『卒業まで待て』って、やっぱ優しいよね、安田。優たんの事、心配なんでしょ?? でも、本当に心配だよね。何としてでも隠さなきゃ」
サヤ子センセが俺の近くに枝豆が入った皿を移動させた。
「別に心配してるわけじゃないし。朝倉先生がクビになろうと、教員免許剥奪されようと、俺には関係ないし」
サヤ子センセの手も届く様に、枝豆の皿の位置を少しサヤ子センセ側に戻し、皿からひとつ枝豆を摘まみ、口に入れた。
「とか言ってー。朝倉先生がいなくなったら淋しがるくせにー」
サヤ子センセが、今度は殻入れを俺の方に置いた。
「・・・まぁ、いなくなってほしいわけではないからね。嫌いなわけでもないし」
『ありがと』とサヤ子センセにお礼を言いながら、殻入れに枝豆の皮を入れる。
そんなサヤ子センセと俺のやり取りを見ていた青山先生が、
「・・・似てるよなー、サヤ子と安田」
まじまじと俺らを見た。
『??』
サヤ子センセと目を合わせると、2人で青山先生に視線を返した。